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東京都中野区での「看護小規模多機能型居宅介護」への挑戦

事業案内

投稿:2023.04.28

東京都中野区での「看護小規模多機能型居宅介護」への挑戦

私たち、ケアプロ訪問看護ステーション東京は、
2011年から訪問看護・居宅介護支援を行ってきました。

その中で、訪問サービスだけでは支えられない利用者様がいるという現実を目の当たりにしてきました。

 

末期がんを患う80代の男性は、持病のある妻と2人暮らしでした。
本人は病院嫌いで、症状が悪化してからも検査は希望されず、
長年診てもらっている診療所の主治医が往診し症状コントロールを行いながら暮らしていました。

訪問看護の介入当初は、県外に住む娘様と息子様が、交代で仕事を休み、実家に泊まって介護をされていました。
徐々に状態悪化していくうちに、介護量も多くなりましたが、
ご本人が他人の介入を好まれない方だったため、訪問サービスを増やすことも難しい状態でした。

持病のある妻の負担が大きくなり、共倒れすることを心配したご家族が緩和ケア病院を希望されました。


本人はいつか帰れるという想いを持ち渋々納得し、入院となりました。
いざ入院する日、娘様や息子様が、本当にこれで良かったのかと葛藤の想いを持たれており、
涙ながらに「これで良かったんだと思います」と話されました。
ご本人は数日後、入院先の緩和ケア病棟でご逝去されました。

 

自宅で生活されていて最終的に入院される方はいらっしゃいます。
入院することが悪いということではなく、
ご自宅での生活を希望されているにも関わらず様々な事情からそれが叶わないという現状に
歯がゆさを感じることを今までに幾度となく経験してきました。

訪問看護や通所施設などは、
1日の限られた時間を点で支えることしかできないサービスです。
しかしながら、時には看護・介護の専門職の目の行き届くところで宿泊ができ、
療養上の不安や疑問を、看護職に気軽に相談できるサービスが求められています。
またそれが自宅でも宿泊先でも良く知った同じスタッフなら、なお安心できるのではないでしょうか。

ケアプロでは、様々な施設等のサービスを検討する中で、地域にとっての「安心の場」となり、
在宅療養者と家族を点でなく面で支えることができる複合型のサービスである、
看護小規模多機能型居宅介護を開設することとしました。


看護小規模多機能型居宅介護(以下、看多機)とは、看護と介護を一体的に提供するサービスです。
「訪問看護」と「小規模多機能型居宅介護」を組み合わせたサービスで、
「通い」、「泊まり」、「訪問介護」、「訪問看護」サービスを提供します。

 

看多機の機能と役割は、以下の13項目があると言われています。

①退院支援
②包括的な支援
③柔軟な対応
④医療的ケア
⑤看取り機能
⑥多職種協同
⑦迅速性
⑧在宅生活継続
⑨安心の場
⑩学習の場
⑪生活の場
⑫家族的機能
⑬相談の場

中村徹也(2019)「地域包括ケアシステムにおける看護小規模多機能型居宅介護の 機能と役割に関する研究-サービス利用者の状況と職員への意識調査を通じて -」

 

地域における退院支援と在宅復帰のハブ機能としての役割を果たすことだけに留まらず、多職種連携を推進し、
地域にとっての「安心の場」や「相談の場」となり「地域包括ケアシステムの総合拠点」
として役割を担うことが求められています。

2023年現在、ケアプロのある中野区では看多機は1事業所のみとなっています。

隣接する杉並区は3か所、練馬区は4か所、新宿区は2か所と、近隣の区の中でも少ない状況です。

決してニーズが無いのではなく、看多機がどういうものか、どう使うのかといったことが療養者のみならず、
地域の介護サービス関係者にもまだあまり認知されていないといった側面があるようです。

また、中野区行政の担当者とお話した際に、
私たちの訪問看護事業所のある中野区中央付近では、
単身者が多く孤立や引きこもりが今後の課題として大きくなる見込みのため、
生活の場や家族的機能などを期待したいというお話がありました。

看多機を開設することで、今まで私たちが直面してきた課題と今後の地域の課題の両方を解決していきたいと考えています。

一方で、現在中野区は駅前大規模複合再開発事業を行っており新しい街に生まれ変わろうとしています。
それに伴い地価が上昇しており、看多機の場所探しが困難を極めています。

地域の方にも看多機について知ってもらい、
ご協力いただきながら地域に必要なサービスをできるだけ早くお届けできるよう尽力してまいります。

ケアプロが創る「看護小規模多機能」「ホスピス」についてのこちらからお問い合わせください!
https://carepro-hmc.co.jp/contact/